第09話   庄内竿の竹   平成16年06月25日  

むかし子供の頃から何気なしに使っていた庄内竿が竹のどの種類に分けられているのか等と考えて見た事はかなった。昨年HPを作るに当たって簡単には調べた事はあったが、最近になってもっと詳しく竹を調べて見ようと云う気になった。

それは、丸節竹に関するあるHPを見て庄内竿は「何のことはない庄内竿の竹は、丸節竹であった」と書かれていた事がきっかけである。確かに丸節竹は苦竹と同じメダケ属に分別されている竹であるから、完成された庄内竿を見て、一見同じに見えたからであろうと思う。丸節竹の現物を見たことがないのでなんとも云えないが、丸節竹は場所や土柄が異なると多少の違いが出て来る事があるらしい。同じ庄内に生えているニガタケにも同じことが云えるが、共通して云えるのは穂先がすべて繊細である事である。地元では以前学者さんに調べて貰った事を根拠にしてアオネザサ(東北に多いされる種)という事が半端定説化している。しかしながら、この苦竹は庄内を中心に海岸線に沿って秋田の一部までしか見ることが出来ない。今は亡き根上吾郎氏と同じようにアオネザサと繁殖方法で若干異なる事から変種が正しいとする考え方もある思えるのであるが・・・・。

庄内では江戸時代末期から良い釣竿を求めて盛んに関東からもメダケ属の大名竹、釣瓶竹等を取り寄せて竿を作ったという文献があるが、やはり地元庄内に産する苦竹が最上とされて今日まで来ている。
 
古来竹は日本人の生活の中に身近にあって、生活の中で竹を使用してきた民族であるが、竹とは何かと云う事が、余りにも身近過ぎて知られている様で案外知られていない物のひとつでもある。日本各地にある竹、笹の名前は約700種と云われているそうだ。その内同種と考えられるものを分類しても学者によって200400種に分類されているらしい。何故これだけの差があるかと云えば、実は良く分かっていないから・・・・なのだそうだ。

数ヶ所の図書館に行って、数多くの植物大辞典等を借りたり、調べて見ると竹の記述が意外と少ない。竹の専門の本と云うのは12冊位である。竹と名前であっても笹の種類であったりその逆も多々ある。一般に背の高いものが竹、背の低いものは笹と昔の人が勝手に名付けたのだからしょうがないとしても、学問的には竹と笹の区別がとても難しいとの事らしいのだ。又現在イネ科竹亜科と分類はしているが、竹科を提唱している学者もいるようだ。

それでも一応は竹・笹はイネ科の竹亜科に属しているというのが現在の定説となっている。がしかし、其処で素朴な疑問が湧いてくる。常緑性の多年生であって、通常地下茎から筍を持って繁殖し花はめったに咲かない。さらに稈(=カン・竹の幹を云う)が幹(=ミキ)その物とは異なるものの木質のように硬いものが、何で草(イネ)と同じなのか・・・? 私ならでも誰しもが思うことである。分厚い植物辞典、植物図鑑をいくらひっくり返して見ても学の無い自分にはさっぱり分からない。そんな訳で問題はまたもや先送りとなった。